デニムについて

koji udo


デニムは育てることが醍醐味
ファーストウォッシュ
「デニム」と「ジーンズ」の違い
魅了されるインディゴ ブルー
ジーンズの語源
女性とジーンズ

 

  • デニムは育てることが醍醐味

リジットデニム、生デニム、ノンウオッシュデニム、未洗いデニムと呼ばれるものは購入後に“育てること” が醍醐味です。私は買ってデニムは洗わないでしばらく履いていくタイプです。 デニムの洗い方もそれぞれ好みがありますね。

初めは糊(のり)が付いた状態なのでとても固いため、そのままでは とても着心地が悪いです。

そのため、着用前に洗濯し糊落としをするのが一般的です。 リジットデニムの加工工程ではあらかじめ収縮率を計算し、蒸気をデニムに当てて縮みを生じさせる“サンフォライズド加工(防縮加工)”が施されています。

洗濯時や乾燥機に入れた場合に生じる縮みを最小限にするためです。それでも糊落としの際の洗い“ファーストウォッシュ”では横のサイズも丈も縮みが発生します。

2回目以降の洗濯では縮みは徐々に落ち着き、履いていると体に合うのがデニムの良さですが、ジーンズを購入する際は縮みを念頭にサイズを選ぶようにした方がよいでしょう。

ー end ー

 

  • ファーストウォッシュ

私はリジット(生)デニムは買って洗わないでしばらく履いていくタイプとお話ししましたが、一般的なデニムは13.5オンス前後なのでFACTOTUMのデニムより厚みと硬さもあるので着用前に糊(のり)落としをするワンウォッシュした方が良いでしょう。


1.
まずはジーンズ購入時に付いている付属品やタグなどを外し、ジーンズを裏返します。

洗濯の際に形が崩れないようにボタンやファスナーなどを閉めておきます。


2.
ジーンズが入る大きさのタライ、またはバケツなどを用意しておきます。最近ではジーンズの洗濯やスニーカー洗い用に便利な折りたためるソフトタブなども販売されています。

デニムからの色落ちがあるためバスタブを利用すると色が残り洗うのが大変になることもあるため注意してください。


3.
お風呂に入る時の湯加減である40度くらいの温度のお湯をタライに入れます。その中に固形石鹸を手でゆすぎながら入れ、石鹸水にします。

固形石鹸は脂肪酸と水酸化ナトリウムを合わせたものなので、弱アルカリ性の性質を持ち、デニムに付いている糊を落とすのに適しています。


4.
石鹸水の中にデニムを入れてギュッと手で押し洗いします。

デニム全体に押し洗いが出来たら石鹸水を捨てて、きれいなお湯ですすぎます。糊をしっかり落としておかないと後の色落ちにムラができるためしっかりすすぎましょう。


5.
洗濯機で軽く脱水を行います。 そして、裏返しの状態で半乾きの状態になるまで陰干しします。

この際、脇線や股下の縫い代(セルビッチ)を手で広げてきちんと縫い代が割れているように手で癖をつけて下さい。


6.
手で触ってまだ少し湿っている程度になるまで乾かします。 半乾きの状態になれば乾燥機に入れて一気に乾燥させます。

大きな熱量を加えて短時間で乾燥させることでデニムを最大限に縮ませます。デニムの目が詰まることで生地に厚みが出て、しっかり履き込めるデニムに仕上がります。

ガス式のコインランドリーの乾燥機の方が熱量は高いためより有効です。

半乾きにせず乾燥機にかけると水分を含みデニムが重いため、回しながら乾くまでに時間がかかり、乾燥機の中でねじれが発生する可能性があるため、半乾きにすることでその可能性を少なくなり色落ちも防ぐことが目的です。

ー end ー

 

  • 「デニム」と「ジーンズ」の違い

FACTOTUMではデニムがアイコニックなアイテムです。特にジーンズはいろんなバリエーションのシルエットを展開してます。

今回はその「デニム」と「ジーンズ」の違いについてお話ししたいと思います。

「デニム」とは藍色の縦糸と白色の経糸で編んだ生地です。 「デニム」はジーンズやジージャンの生地としてよく知られる藍色(インディゴ)の綿織物のことで、織り込まれた白色の晒糸が裏地に現れるため裏地が白く見えることが特徴です。

裏地が白い(ホワイトバック)ことから「ホワイトバックデニム」とも呼ばれています。

「デニム」の起源は南フランスの「セルジュ・ド・ニーム(serge de nimes)」。ニーム産のサージという意味で、セルジュまたはサージとは綾織地のことです。 この「セルジュ・ド・ニーム」は1593年頃からニームの地で製造されはじめたと言われています。

「デニム」という名前も「セルジュ・ド・ニーム」に由来します。 語源のフランス語の名称が英語に訳されて「サージ・デニム(serge denime)」に変化し、ここから「デニム」という言葉が生まれました。 「ジーン」は縦糸2本の間に経糸1本を織り込んだ生地です。

「ジーンズ」はジーンズやジージャンの生地で「デニム」の別名と認識している方が多いでしょう。でも「デニム」と「ジーンズ」は別物です。
「デニム」と「ジーンズ」は見た目はよく似ていますが、織り方も歴史も違います。

「ジーン」の起源はイタリアの「ジーン・ファスティアン(jean fustian)」。「ジーン・ファスティアン」の「ジーン」とはイタリアの港町ジェノバを指し「ファスティアン」は綿と麻でできた織物のことです。

「ジーン・ファスティアン」が製造されはじめたのは1567年頃です。 「デニム」の起源である「セルジュ・ド・ニーム」よりも四半世紀ほど早い時期でした。そして1590年頃に英国に渡った「ジーン・ファスティアン」は英国で「ジーン」という別の生地に発展し、これがアメリカに伝わりました。

アメリカで「ジーン」が製造されはじめたのは「デニム」の製造開始時期よりも一世紀早い18世紀。1783年4月3日に米国産「ジーン」の第一号が製造されたと記録されています。

ー end ー

 

  • 魅了されるインディゴ ブルー

今回はインディゴブルーのお話です。

インディゴの原料はホソバタイセイとインド藍があります。 ホソバタイセイは南ヨーロッパ原産。 インディゴ染料の原料として中世ヨーロッパで盛んに栽培され、止血薬としても用いられました。

インド藍は名前のごとくインド原産。 高温多湿のデルタ地帯に生育し、色素量が多いのが特徴で、沈殿法によって簡単に染めることができます。

インディゴは世界の歴史と文化を作った主要な染料です。 中世ヨーロッパではホソバタイセイ染め師からインド藍は「悪魔の染料」と呼ばれていました。
フランスではアンリ四世が財源であったホソバタイセイを保護するためにインド藍を使用禁止にしました。

しかし、ホソバタイセイとインド藍ではインド藍が染色能力、藍色の効果、染めた後の定着の強さなどから、はるかに原料として優れていました。 結局、インド藍は世界で使われるようになります。
これって今も昔も変わりませんね。誰かの利権だけでは最終的には残れない。みんなが求めるものだけが残る。

そして、高価なインド藍でしたが1878年にドイツのバイエルがインディゴ染料の化学的な製法で合成インディゴを完成させて大量生産できるようになり多く使わされるようになりました。

天然インディゴ染めで染め上げた製品は、深みのある素晴らしい色合いに仕上がります。 製品によってはあえて「ムラ」を残すことで、自然な色合いに仕上げられることもあります。

一般的な青色の顔料で染めただけでは、この深い色合いを出すことはできません。天然インディゴ染料だからこそ実現できる色合いなのです。

その美しい完璧なインディゴブルーの色合いが、経年変化により、さらに美しく魅力的に育ちます。

自分の体型やライフスタイルが経年変化に反映され、いつしか自分だけのオリジナルのインディゴブルーへと育ってくれる。 デニムの醍醐味ですね。

ー end ー

 

  • ジーンズの語源

今回はジーンズの語源について話したいと思います。

「ジーンズ」の生まれ故郷であるアメリカでも「ジーンズ」という呼び方になったのは、割と最近のようです。

アメリカで「ジーンズ」という呼び名が普及するきっかけとなったのは、第二次世界大戦の終戦二年後の1947年にブルーベル社のラングラーが出した広告でした。

ラングラーは広告の中でデニム生地のパンツに「ジーンズ」という名前をつけて宣伝しました。 デニム生地のパンツが一般的に「ジーンズ」と呼ばれるのはこれが初めてのことでしたが、この名前はすぐには普及しなかったようです。そして、ラングラーがデニム生地のパンツに「ジーンズ」という名前をつけて売り出したのには訳があったようです。


リーバイ・ストラウス社のリーバイスとヘンリー・デヴィッド・リー社のリーという2大ブランドがそれぞれデニム生地のパンツがあり、リーバイスが「オーバーオールズ」リーが「カウボーイ・パンツ」という呼び名で販売。

すでに市場を席巻する中、後発ブランドだったラングラーが市場に食い込んでゆくにはシンプルで力強い商品名が必要でした。

このビジネスの発想がアメリカ人らしいですね。

そこでラングラーは「ジーンズ」という当時としては目新しい名前をつけてデニム生地のパンツの販売を開始しました。
10年ほどの歳月をかけて「ジーンズ」という呼び名を消費者の間に浸透させ、ついに「ジーンズ」をデニム生地のパンツの代名詞にまでしてしまったのです。


そんなブルーベル社のラングラーが他のジーンズブランドと大きく違った点は「史上初のデザイナージーンズ」であったことです。

デザイナーのロデオ・ベンはジーンズにフィット感や機能性をもたらし、実際のカウボーイ達の意見を取り入れたジーンズをデザインしたのです。

ただし、ジーンズのデザインの原型はリーバイ・ストラウス社のリーバイスです。
1853年にリーバイ・ストラウス社が サンフランシスコで雑貨店を開業。 リーバイ・ストラウス社からテント地を買っていたヤコブ・ディビスは、リーバイ・ストラウスに「リベットで補強した衣類」の特許申請を持ちかけた。

共同による特許取得申請は、1873年5月20日に受理し、以来、この日付がジーンズの原点を印すものとして、伝統のツーホースパッチには刻まれています。

1877年にはリベット付テント地のパンツに関して、本格的な仕様が決定されました。 リーバイ・ストラウス社の商標であり、アメリカでもっとも最古の衣類商標である、バックポケットに縫い込まれた「アーキュエット・ステッチ」の採用です。 ツーホースマークの発案など現在の501®ジーンズの仕様の原型が整いました。

1886年にツーホースパッチの原型であるレザーパッチが、品質保証の意味を込めて縫い付けられました。
ジーンズってホントに長い歴史の中で残っているデザインで美しいですよね。

ー end ー

 

  • 女性とジーンズ

今回は「女性とジーンズ」について話したいと思います。

まずは遡って1930年代は、まだ男性労働者のイメージが強かったジーンズは女性が穿くなんて考えない時代でした。

女性用ジーンズ誕生の大きな契機となったのが、世界恐慌を発端にアメリカ西部で沸き起こった初誕生「デュード・ランチ ブーム」でした。牧場を観光スポットにするデュードランチがブームになり、人々は牧場への装いにジーンズを穿きこなしました。

1938年、そこでリーバイスはデュードランチ用のユニフォームアイテムとして女性向けジーンズを世界に初めて販売しました。 LADY LEVI’S (レディ・リーバイス)で「LEVI’S 701」です。第二次世界大戦により女性もワークウェアとしてジーンズを穿くようになりました。

女性用パンツはサイドジッパーが普通でジーンズのセンタージッパーに抵抗があり避けられていましたが、しかし戦時には女性も工場で働き始めたため、ワークウェアとして女性もジーンズを穿くようになりました。


1950年代は、カジュアルウェアとしてのジーンズに戦後の繁栄でこれまでワークウェアとして位置付けられていたジーンズが「カジュアルウェア」としてブームになります。 雑誌などの広告もワークウェアブランドからカジュアルウェアブランドへ。

これまでは、ダボっとしたジーンズが主流だったのに対し細身のシルエットがトレンドになり、ここからファッションとしてのジーンズにシフトチェンジしていきます。

1952年は、リーバイスはアメリカ全国規模で大々的に女性用ジーンズの販売を開始。

1954年「帰らざる河」で酒場の歌手という役で、マリリンモンローはジーンズを穿いて登場します。
女性がジーンズを身につけること自体に抵抗感があった1950年代という時期においてスクリーンの中のマリリンモンローが人々に与えた衝撃は凄まじいものでした。

そしてその姿は完璧だったのです。

その翌年の1955年に、「理由なき反抗」の劇中でジェイムス・ディーンがジーンズを穿いたことで男性も「ファッションとしてのジーンズ」完全に変わりました。

やはり、トレンドは女性の方が早いですね。男性は保守的です。

なぜ、マリリンモンローは積極的にジーンズを穿いたか、、 参考にした本「ブルージーンズ」出石尚三さんによれば、ハリウッドスタートして大女優だったマリリンモンローは世の中からはセクシーな女性のシンボルとされてました。

本人的にはそのイメージを崩したかった。 それは男性的なジーンズをあえて穿きこなすきっかけになったかもとか。

改めてファッションって自己表現でメッセージでもありますね。

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